中国最高峰のそろばん大会を視察!〜2025薪火伝承珠心算文化国際盛典

2025年8月1日〜5日、中国・北京で開催された「第16回 薪火伝承珠心算文化国際盛典(Eternal Flame Heritage Abacus Cultural Continuity International Grand Ceremony)」に、来賓として参加させていただきました。

参加してまず驚かされたのは、その大会規模の大きさ内容の豊富さ。世界各国から集まった700名を超える参加者、5日間にわたる充実した日程、そしてそろばんに対する熱量—日本のそろばん大会ではなかなか見られない、まさに驚きと感動の連続でした。

今回は来賓としてご招待いただきましたが、同時に、2025年10月4日に大阪で開催予定の国際そろばん大会の参考視察という目的もあり、各国の取り組みや運営方法を実際に見ることができたのは非常に貴重な機会でした。


目次

大会概要

  • 大会名:
    薪火伝承珠心算文化国際盛典
    2025 Eternal Flame Heritage Abacus Cultural Continuity International Grand Ceremony
  • 開催回数:
    第16回(これまで毎回、中国各地の有名大学で開催)
  • 日程:
    2025年8月1日(金)〜8月5日(火)
  • 会場:
    中国科学院大学(雁栖湖キャンパス)体育館(北京)
    ※中国科学院は国家直属の総合研究機関であり、中国最高峰の理系大学。今回の会場選定には、「そろばんは科学である」という大会理念が込められており、学術的な意味合いも強いものとなっています。
  • 主催:
    上海昂立教育集団
  • 指導単位:
    中国珠算心算協会/上海市珠算心算協会
  • 参加費:
    1,000元(約2万円)
    ※中国国内の大会としては高額で、格式の高さと教育的価値の高さを象徴しています。

主な大会スケジュール

▼8月1日(DAY1)

受付・団体登録(13:00〜18:00)

▼8月2日(DAY2)競技本番

  • そろばん暗算、読み上げ算、フラッシュ暗算、暗算マラソン、極限挑戦、数字読みとり、段位認定試験など多彩な種目を実施
  • 夜は希望者参加の交流パーティー:子どもたちが歌やダンス、演奏などの特技を披露し、プレゼント交換も。国や言語を超えた笑顔あふれる交流が印象的でした。

7:30~8:00 入場
8:00~8:20 開幕式
8:20~9:00 暗算・そろばん
9:10~9:40 読み上げ暗算(幼稚園前1桁組、小学1年1桁組 予選)
9:40~10:10 読み上げ暗算(小学2年1桁組 予選)
10:10~10:40 読み上げ暗算(小学3年1桁組 総決勝および表彰)
10:40~11:10 フラッシュ暗算(幼稚園前1桁組、小学1年1桁組 予選)
11:10~11:40 フラッシュ暗算(小学2年1桁組 予選)
11:40~12:00 フラッシュ暗算(小学3年1桁組 総決勝および表彰)

13:30~15:00 読み上げ暗算(幼稚園前1桁組、小学1年・2年1桁組 総決勝および表彰)
15:00~16:30 読み上げ暗算(幼稚園前1桁組、小学1年・2年1桁組 総決勝および表彰)
16:30~17:00 暗算マラソン 総決勝および表彰
17:00~17:30 数字記憶コンテスト 総決勝および表彰
17:30~18:00 段位認定
18:00~18:40 極限チャレンジ

19:00〜交流パーティー

▼8月3日(DAY3) 

伝承儀式・表彰式

8:00~8:30 入場式
8:30~9:30 開幕式/伝承式/極限チャレンジ演技
9:30~11:30 そろばん暗算 表彰式

・午後は名門校での見学・研究活動

▼8月4日(DAY4)

  • 子どもたちは文化体験・名校研学活動
  • 一方で指導者向けには国際珠算フォーラムが開催され、海外から参加した珠算指導者が各国の珠算事情と展望を発表。
    日本からは日本国際そろばん協会・中西理事が登壇し、日本の教育現場におけるそろばんの意義と取り組みを紹介しました。
    会場には中国各地から指導者が多数参加し、熱心な質疑応答が交わされました。

▼8月5日(DAY5)

・子どもたちは文化体験・名校研学活動、その後解散


日本の大会との違い

1、競技日と表彰式が完全に日程が分かれている

通常日本では、1日で終えることが多いそろばん大会ですが、今回の大会は、競技と表彰が完全に別日になっていました。

2、学年別の出題

競技に関しては、学年単位で出題が分かれていて、どんなレベルでも参加できるように工夫されていました。

3、子どもたちが楽しいと思わせる演出

競技でも表彰式でも、オリンピック選手の入退場のように、子どもたちひとりひとりが主人公として演出されていました。また参加した子どもたちが満足できるよう、全員が表彰される仕組みになっていました。

4、指導者たちも表彰

そろばんの指導者やチームとしての表彰もあり、指導してきたコーチなどが舞台に立ち、表彰されていました。これは指導者たちにとってもうれしい仕掛けだと思います。

5、賞金あり

今回の競技では、優勝には1000元(約2万円)、2位には800元(約1万6000円)、3位には500元(約1万円)という賞金が出されていました。賞金については色々考えもあると思いますが、金額が少額でもモチベーションにはなるのではないかと感じました。

6、大会全体のライブ配信、写真共有あり

ムービーカメラは合計4台、そのほかスチールカメラマンも数人入っていて、会場でオフィシャルの映像を撮影しており、それが常に更新されて、みられるようになっていました。特に競技中は保護者の会場への入場は不可なので、とてもシステムだと思いました。ほしいものは、ダウンロードできるようになっていて、それを拡散してすることでさらに人気を呼ぶという仕組みができていました。なんと大会終了で、320万人を超えていました!


Screenshot

最後に

表彰式の日には、伝承式というものがありました。その中では、会場の皆がひとりひとりがそろばんという伝統を伝承していく者であるという誓いを言葉にします。そこには、単なるそろばん競技会ではなく、そろばんという科学、文化、伝統を受け継ぎ、未来に継承して発展していくのだという強いメッセージがしっかりと共有されていたと思いました。この大会を通じて、子どもたちの限りない能力を改めて発見し、多くの希望と刺激をいただきました。

10月に日本で開催する大会に向けて、この貴重な経験を最大限に生かしていきたいと思います。

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