
そろばんの活動に関わって以来、ずっと訪れてみたいと思っていた中国珠算博物館を、ついに訪れることができました。

中国珠算博物館は、上海から新幹線と車を乗り継いで約2時間、江蘇省南通市崇川区濠北路58号に位置しています。国家AAAA級観光地である美しい南通濠河のほとりにあり、南通少児珠心算学校にも隣接しています。

敷地面積は約2万平方メートル、建築面積は6,000平方メートル。珠算文化と濠河の風情が融合した人文景観であり、世界最大のそろばん専門博物館でもあります。

この博物館は2004年12月6日に開館し、南通市人民政府と中国珠算協会によって共同で建設されました。2007年12月末には国務院弁公庁の批准により現在の名称が正式に付与され、2008年10月25日には国家4A級観光地に認定されました。さらに2009年には初の国家三級博物館の一つとして評価され、2021年12月21日には正式に一般公開されています。

建物全体にはそろばんの要素が随所に取り入れられている
展示面積は1600平方メートルにおよび、「歴史館」「精品館」「文化館」「体験館」「特別展示館」の5つの展示室で構成されています。館内の展示品は、以前の200点余りから現在では1,000点以上に増加しています。なかでも精品館では、木製・金属製・玉製・陶磁製など、さまざまな素材のそろばん約500点が展示されており、その多くは初めて収蔵庫から公開されたものです。貴重な文化財が、より広く一般に開かれていることを実感しました。

中国珠算博物館HPより
収蔵品は、算書典籍と算具精品に大別されます。館内には史料や典籍が4,000冊以上収められており、そろばんの発展史における貴重な孤本や善本も数多く含まれています。また、中国・日本・インド・ロシア・マレーシアなど、各国のさまざまな時代のそろばん器具が2,000点以上収蔵されており、その形も実に多彩です。

長い歴史を有するそろばんについての解説と、目の前に並ぶ数々の展示物を通して、そろばんは単なる計算道具ではなく、人と人、そして国と国をつなぐ文化であることを、改めて実感することができました。

清明上河図
『清明上河図』は、中国十大伝世名画の一つであり、北宋の画家・張択端によって描かれました。作品には、当時の北宋時代の都・汴京における人々の生活や生産活動、商業取引、そして市井の様子が生き生きと再現されており、北宋期の都市経済や社会生活を研究するうえで非常に貴重な歴史資料とされています。
珠算家の余介石と殷長生による綿密な調査の結果、画巻のほぼ末尾、すなわち最も左端付近に位置する「趙太丞家」という薬店のカウンター上に、「梁穿档式(りょうせんとうしき)」のそろばんが描かれていることが確認されました。
このことから、遅くとも北宋時代には、このような構造のそろばんがすでに民間に広く普及し、実際に使用されていたことが推測されています。

2階の「精品館」のある展示ケースの中には、四隅にそれぞれ象牙の微細彫刻そろばんが置かれ、中央には釣り糸で吊るされた、爪ほどの大きさしかないものも展示されていました。

最初は気づかなかったのですが、同行者に教えられて拡大鏡でよく見てみると、これらの象牙そろばんは一つひとつの珠がはっきりと作られており、実際に動かすこともでき、さらに裏面には非常に精巧で豊かな模様が施されていました。こんなにも小さなそろばんが存在するとは、本当に驚きで、とても神秘的に感じました。

象牙の微細彫刻によるそろばん
現在の河北省にあった巨鹿故城は1108年、黄河の氾濫によって水没しました。1921年7月、当時の北平国立歴史博物館は調査員を河北省邢台市巨鹿県のこの旧城にある三明寺跡へ派遣し、発掘調査を実施しました。その結果、王氏および董氏の旧宅地下から、机、椀、箸、盆、石硯、囲碁の石など200点以上の文化財が出土し、その中に一つのそろばん珠も含まれていました。

巨鹿のそろばん珠(展示されているものはレプリカです)
このそろばん珠は木製で、扁平な円形をしており、直径は2.11センチです。約800年もの間、水と土に埋もれていたにもかかわらず、なお鼓形(中央がくびれた形状)であることが確認でき、中央には穴が開いており、現在一般的に使用されているそろばんの珠と大きさ・形状ともに非常によく似ています。

1階の「文化館」の中央には、博物館の至宝ともいえる展示品――全長7.8メートル、高さ1.8メートル、総重量3トンにも及ぶ紫檀製の巨大そろばんが据えられています。1つひとつの珠の重さは約6.5kgもあり、中国伝統の榫卯(そんぼう)という技術で、釘を使わず木のみで組み立てられています。紹介によると、このそろばんは館内で最大であるだけでなく、世界最大級の紫檀製そろばんでもあるとのことです。この圧倒的な迫力は、やはり現地でこそ体感できるものだと感じました。

紫檀の巨大そろばん
1階には「体験館」も設けられています。そろばんをテーマにしたさまざまな体験型コンテンツが用意されており、大人から子どもまで思わず足を止めて楽しむことができます。ここでは実際にそろばんを操作したり、タブレットを使って問題に挑戦したりと、そろばん文化に間近で触れることができます。

さらに、さまざまなデザインのそろばんスタンプも特別に用意されています。来館の記念として気軽に押すことができ、オリジナルのノートや台紙に自分だけの記録を残す楽しみがあります。そろばんの形や珠のモチーフがあしらわれたユニークなスタンプは、子どもから大人まで人気で、体験の最後にちょっとした達成感と遊び心を添えてくれます。

2022年時点での収蔵文物は11,810件にのぼり、年間来館者数は376,400人に達しているそうです。
機会があれば、ぜひ皆さんを実際の中国珠算博物館へご案内したいと思います。
中国珠算博物館
住所:江蘇省南通市崇川区濠北路58号
月曜日休館
火曜日〜日曜日会館 午前9:00—11:30,午後14:00-16:30
記念動画も撮影しましたので、ご興味がございましたら、ぜひご覧ください。
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C&Jワークス:desk@cnjworks.com
受付時間 10:00-17:00 [ 土・日・祝日除く ]

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