
第17回「薪火伝承珠心算文化国際盛典」で、もう一つ非常に印象的だったのが、大会運営に新しい技術を積極的に取り入れていたことです。
今年、中国の珠算大会では初めてというAI採点システムが本格導入されました。
約40人で行っていた採点をAIへ


従来は約40名が朝から夕方まで行っていた採点を、AI導入後は3名が答案をスキャンし、約6名がAIの判定を確認する体制へ。
採点時間も2~3時間程度にまで短縮されたといいます。
認識精度は約99%。
AIが大量の答案を処理し、認識エラーや判断が難しい部分だけを人間が確認するという、「AIにすべて任せる」のではなく、AIと人間がそれぞれ得意な部分を担当する仕組みになっていました。
AIに合わせて答案用紙までつくり直す


しかも、このシステムは単にソフトを導入しただけではありません。
国や地域によって異なる数字の書き方をAIに学習させ、筆記具も鉛筆だけでなくボールペンなどに対応。
回答用紙についても、AIが読み取りやすい回答欄の大きさや配置、確認するスタッフが長時間画面を見ても疲れにくい色などを一から検討したそうです。
さらに回答用紙はQRコードによって管理され、採点や再確認の際には、選手の名前や所属教室が分からないようになっています。
1年間かけて実用化
システムの準備には約1年をかけ、3~4回の小規模大会で実証を重ねました。
投資額は約8万元、日本円で200万円弱です。
まだ改良の余地はありそうでした。
それでも、「まず新しい技術を使ってみる」のではなく、実際の大会で使えるよう一年かけて仕組みをつくり、試し、改善し、本番へ持ってきた姿勢には驚かされました。
長い歴史を持つそろばんと、最新技術であるAI。
一見すると対極にあるような二つが、同じ会場でごく自然に共存している。
「伝統を守る」ということは、昔と同じことを続けるだけではなく、新しい技術を取り入れながら、次の時代へ残していくことなのかもしれません。
次回④では、この大会の費用面に関して、ご紹介していきたいと思っています。

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